男性の頻尿について
男性の頻尿症状は中高年以降に起こりやすく、尿の回数の増加だけでなく、尿の勢いの低下を同時に自覚しておられるケースが多いという特徴があります。特に就寝から起床までの間に1回以上トイレに起き、そのことで苦痛を感じる場合を「夜間頻尿」と呼びますが、昼夜を問わず、頻繁に尿意をもよおしてしまい、生活に支障を感じる場合には泌尿器科へご相談をください。
中高年以降の男性では前立腺肥大症という疾患の頻度が増加してきます。
これは膀胱の下流で尿道の起始部を取り囲んでいる前立腺という臓器が、年齢と共に大きく腫れてくる良性疾患で、尿道が圧迫により狭くなることで尿の勢いが徐々に低下していきます。
すると膀胱はスムーズな排尿のために筋肉の収縮を強めて対応しようとします。
この状態が長く続くとだんだんと膀胱の柔軟性が低下して容量も低下し、結果的に頻尿となります。
泌尿器科でよくみられる
男性の症状(例)
- 夜間、何度もおしっこに起きる
- 尿が残っている感じがする
- 尿に勢いが無い、途切れ途切れの排尿となる
- 尿意はあるが、排尿できない
- 陰茎、陰嚢の痒み、痛み
- 亀頭、包皮のできもの
- 尿道から膿が出る
- 尿に血が混じる
- 陰嚢が腫れる
- PSA(前立腺特異抗原)の値が高い
- 勃起力が低下した
など
泌尿器科を受診する
男性の主な疾患
- 急性尿道炎
- 急性前立腺炎
- 急性精巣上体炎
- 前立腺肥大症
- 尿路結石症(腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石)
- 泌尿器がん(腎がん、膀胱がん、前立腺がん、精巣がんなど)
- 陰嚢水腫
- ED(勃起不全)
など
男性の頻尿の原因
- 前立腺肥大症
- 過活動膀胱
- 急性/慢性前立腺炎
- 尿路結石症
- 尿路腫瘍
- 多尿
など
男性の頻尿の治療法
まずは問診で普段の食習慣や飲水習慣、生活リズムなどに偏りがないかをお伺いします。
加えてお酒を飲まれる方は飲酒量、常用薬がある方はその種類などをお調べし、頻尿の原因となりうるものがないか確認します。
続いてエコー検査で前立腺肥大の有無や残尿量を評価して治療方法を検討します。
上に記したとおり男性の頻尿は前立腺肥大症による尿の出にくさに起因していることが多いため、薬物治療では尿の排出をスムーズにするα1ブロッカーなどの薬を選択することが多いです。
効果が不十分な場合には適宜、膀胱の過剰な収縮を抑制するβ3受容体作動薬や抗コリン薬などの薬剤を追加します。
この他にも男性の頻尿症状に有効な薬剤は多数登場してきていますので、効果と副作用などの出方をみながら、投薬内容を調整します。
前立腺肥大症の手術について
前立腺肥大症は年齢を重ねるにつれて徐々に進行していく病気で、お薬での治療のみでは症状のコントロールがつかなくなる患者さんも少なくありません。
頻尿や尿意切迫感といった症状から始まり、やがて尿の勢いがさらに低下するとお腹に力を入れたり手で圧迫しながらでないと排尿できなくなり、最も病状が進むと自力での排尿か困難になり腎不全など別の病気の原因になることもあります。
高度の前立腺肥大症がある患者さんには、高次医療機関での内視鏡手術をお勧めしております。
これは電気メスやレーザーメスを内蔵した手術用の特殊な内視鏡を尿道から挿入し、尿の流れを妨げている肥大した前立腺組織を内側から切除して、排尿を改善させる手術で、男性の頻尿症状の改善にも有効とされている方法です。
設備の整った病院の泌尿器科では全国的に広く普及している手術で、通常1週間以内の入院となります。
当院ではエコー検査や尿流測定検査の結果に応じて、この手術療法をお勧めさせていただくことがあります。
紹介先の病院についてはご希望に応じることも可能ですし、お任せいただければこちらで選定いたします。
少しでも不安が解消されるよう丁寧にご説明いたしますので、手術療法について詳しく知りたい方はお気軽に問い合わせください。